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2023年9月9日 bifarrバイファール カヤックセーフティ&レスキューイベントを振り返って

去る9月9日にパドルフィッシング専門ブランド【bifarrバイファール】さんの実店舗・静岡三保店で開催されました【バイファール カヤックセーフティ&レスキュー イベント】について、講師の一人として招待していただいたサニー本橋視点で振り返ってみたいと思います。
実施から時間が開いてしまいましたが、冬で漕ぎ出す機会が減る時期だからこそ安全についてもう一度皆さんに考えて欲しいなという願いから書き上げました。

実施直後にSNSにはアップしましたが、終わってみてとても有意義で充実していたなあと感じ、やっぱりちゃんと文章に残しておきたいという思いが強かったのでブログにしっかり書いておきたいと思います。

【バイファール カヤック セーフティ&レスキュー イベント】は昨年2022年にも企画されていたのですが、台風荒天のため中止になってしまいました。
そしてなんと今年も台風がかすめて行ったのですが奇跡的(肩透かし!?笑)に影響はほとんどなく、無事に開催することができたのでした。

イベントを企画したのは2022年にブランドを立ち上げ、そして実店舗もオープンされた【bifarrバイファール】さんと、長年カヤックフィッシングに関わってきた老舗【kayak55.com】のホエール赤澤さんとチャン松さん、さらに、ロックンロールカヤックス「デスペラード」とスイングスターパドルを手掛けたRAINBOW中谷さんでした。そこへJSPA日本セーフティパドリング協会つながりで、サニー本橋も講師としてお呼ばれした次第です。

とってもお洒落で商品も充実しているバイファール静岡三保店さん

イベントの目的は安全啓発。シンプルにしてとても大切なことですね。
そしてなるべく敷居は高くしたくないので、手漕ぎカヤックだけではなく足漕ぎ艇も参加OKにしました。

このイベントでホエール赤澤さんが一番やりたかったことはグループレスキュー。
セルフレスキュー=再乗艇は1人でも練習できますが、グループレスキュー(他の人の再乗艇などをお助けするレスキュー)は仲間が必要ですし、もっと言うと同じモチベーションがないと練習しにくいものですからね。

さらに、実践練習だけではなく、どんな状況でどんなレスキューをしたらいいか選ぶ考え方を学び、そしてワンステップ上のパドリングテクニックも知ってもらおうと室内講義との二部構成にしました。

バイファール静岡三保店の酒井店長が厳かに開会の辞が述べられ、講師とゲストの紹介がされ、講習はスタートしました。
講義一発目はサニー本橋担当の【事故事例から学ぶレスキューの基本概念】について。

再乗艇の練習やYouTubeでやり方なんかを勉強しても、「レスキューの基本概念」とかまで掘り下げる人は少ないのではないでしょうか?
でも実はこれ、掘り下げるのではなくてそもそも論で把握しておかなければならないとても大切な事柄なのです。

どういうことかと言いますと、再乗艇のやり方やグループレスキューのやり方だけを絵面だけ表面的にだけ覚えてしまうと、見知ったやり方しかできなくなってしまい、状況に応じてレスキューのやり方を変化させることがしにくくなってしまうかもしれないのです。

でも実際に再乗艇やレスキューをしなければならない状況というのは千差万別なので、臨機応変にやることの順番や使う技術を組み立てなければいけません。
しかもレスキューしなければならない状況ですので、海況は穏やかではないかもしれません。

午後からの実践練習に先立ってレスキューの基本概念について知ってもらい、それに基づいて行動できるように考え方を身につける、それがサニー本橋の講義の目的でした。

ざっくりした内容は、

1、レスキューの3S(Safety安全に、Speedy素早く、Simple簡潔に)

2、セルフレスキュー・ファーストの原則(→チームレスキュー・セカンド→ビクティムレスキュー・ラスト)

3、事故の発生原因(=ヒューマンエラー)

上記の3つのポイントについて、事故事例を挙げながらワークショップ形式で講義を進めました。

事故事例は1人で出艇したケースと複数人(グループ)で出艇したケースで、それぞれ海況が穏やかな時とそれなりにシビアな状況とを想定し、あなたなら具体的にどう行動するか、その時に潜んでいる危険要素(リスク)はどんなモノ・コトがあるかなどを考えてもらい、ポストイットに書いて模造紙に張り出し、みんなで共有しました。

こうして他の人の考え方などを共有できたのもイベントならではだったのではないでしょうか。自分の考えだけではなく、他の人の考えを共有することで引出が多くなり、知識が増し、自分ができることをどう組み立てるかという作戦立案がたくさんできることでより効率的で効果的なレスキューができるのです。

プロのカヤックインストラクターやガイドなら当たり前に考えていること、やっていることですが、個人で、グループで海へ漕ぎ出すということはプロと同じことを自分たちがしなければならないのです。

そう、みなさんが船長=責任者なのです。

ここでお伝えしたいのは、「事故は他のなにものの所為ではなくて、自分に原因があるのだ」ということです。

登山や水辺の事故のニュースで「天候の急変」という言葉が使われることがありますが、批判を恐れずに断言すれば天気は急変しません。天気の移り変わりには必ず予兆があり、さらに言えば今の時代、スマートフォンからいくらでも情報を得ることができます。
天気が移りゆく予兆を見逃し、情報収集を怠ったがために「天気が急変」したと感じてしまうのです。

天気が移り変わる予兆にはいろいろありますが、風向きが変わったり、風が強くなったり逆に弱くなったり、波の変化、雲の動き、雲の形、遠くの景色の見え方の変化、さらには急にヒヤッとした空気が頬を撫でたり生ぬるい風が吹いたりなど空気感の変化などの観天望気だけではなく、漁師さんや釣り船が港へ戻っていったりなど他の人の行動にも表れたります。

天気予報サイトが外れることもあります。
確かにそうですが、複数の天気予報サイトはチェックしましたか?
たった一つの天気予報を見ただけで「天気予報を確認した」と言うのはあまりにも稚拙です。
天気予報が外れたというのも、時間と場所がずれただけかもしれません。天気予報を見る時、そもそも時間帯や場所がずれるかもしれないと思ってチェックするのも大切です。天気予報は自分が行く場所だけではなく、周辺の天気予報もチェックしてみるといいでしょう。

え?そこまで気を付けてなくちゃいけないの??もっと気軽に楽しみたいんだけど。。。
なんて思っちゃいけません。だってあなたは船長ですから。

こうして考えていくと、事故の原因はヒューマンエラーが大きな比重を占めていることが浮き彫りになって来ます。
なにかの所為、誰かの所為にしないで、自己完結、オウンリスクの意識をしっかり持ちましょう。
その意識を持って、安全にカヤックフィッシングを長~く楽しんで欲しいという願いを込めたサニー本橋の講義でした。

講義の様子をYouTubeチャンネル【ぷかりカヤックフィッシングの旅】のタチバナさんが編集してくださったのでリンク先の動画もぜひ見てください!
(これ以上、文章で書くのはシンドイので笑)

【ぷかりカヤックフィッシングの旅】作製のサニー本橋の講義ダイジェスト動画はこちら!

【初中級者必見】【有料の講習を無料公開】カヤックフィッシングセーフティー&レスキューイベント①

続いてRAINBOW中谷さんの講義です。
お題はレスキューした後に必要となるパドリングテクニックについてです。

レスキューした後、その場に留まるのではなくその場から移動や退避しなければいけないシチュエーションかもしれません。
そんな時は風が強かったり、波が高かったりするでしょう。そうした海況でしっかりと進路を保ちながら漕ぎ進むためのパドリングテクニックを解説してくれました。

スターンラダーのパワーフェイスとアンパワーフェイスの使い分け、フォワードストロークからスターンラダーへのスムーズな連動、波の中でのキャッチポイントなど、意識するだけでも使えるパドリングテクニックについて話されました。
なかなかマニアックでちょっと高度な内容だったかもしれませんが、豊富な経験に基づく実戦的な講習でした。

こちらも下記の動画をぜひご覧ください。

【ぷかりカヤックフィッシングの旅】作製の中谷さんの講義ダイジェスト動画はこちら!

【バイファールカヤックセーフティー&レスキューイベント②】人気のカヤックとパドルのデザイナーが語るウェザーコッキングとは?

そして午後は実践練習です!

ここからは司会進行はkayak55.comの赤澤さんです。

能書きを垂れるよりも実践ですね!ということでいきなり各自セルフレスキューの練習をはじめてもらいました。笑

まずはそれぞれ再乗艇をしてもらい、スムーズにできなかった方にはスタッフがアドバイスをします。複数人数のインストラクターがいるイベントの強みですね。

足漕ぎ艇でもセルフレスキューにチャレンジ!

なんといってもひっくり返すのも大変(笑)なくらい安定性は高いですが、実際問題として足漕ぎ艇でも漂流、死亡という悲しい事故は発生しています。
海へ漕ぎ出す以上はセルフレスキューは足漕ぎ艇であっても必須のスキルなのです。

お次はグループレスキュー。(アシストレスキューともいいます)
ペアを組んでもらって、何度も練習してもらいました。

グループレスキューの練習では、足漕ぎ艇対足漕ぎ艇もやってもらいました。
これは今まであまり検証されていなかったのではないでしょうか?そういう意味でも参加者同士で練習でき、また、今は手漕ぎカヤックに乗っている方も将来足漕ぎ艇に乗り換えるかもしれないことも考えると、非常に有意義な時間になりました。

足漕ぎ艇は重く、ひっくり返った状態では逆に復元しにくいなどの特徴もありますが、足漕ぎ艇だからこそできるやり方なども検証できました。

最後にRAINBOW中谷さんから、講義で話したスターンラダーについてなども練習しました。

片側だけを漕いで真っすぐ進む練習は、スターンラダーを習得するのにとってもいい練習になります。(でも難しいですよね笑)

【ぷかりカヤックフィッシングの旅】作製の実技講習ダイジェスト動画はこちら!

【知識は実践しなければ身にならない】セーフティー&レスキューイベント③再上艇訓練 パドリング技術向上

講習終了後、修了証の授与が行われました。

ホエール赤澤さんが密かに準備してくださっていました!笑

丸一日のみっちりしっかり講習、お疲れさまでした!

 

今回、サニー本橋は講師として参加させていただきましたが、教えるだけではなく、この場で学ぶことも多かったです。

我流で何かを突き詰めるのも一つの楽しみ方、嗜み方かもしれませんが、僕はいろんなところへ顔を出し、頭を突っ込み、足を踏み入れることでより多くの知識、技術、そして経験談を聞き、いろんな方たちと出会える場を大切にしたいと思っています。

このブログ、そして【ぷかりカヤックフィッシングの旅】さんやkayak55.comさんのYouTubeを見ていただき、そこで満足せずにぜひ現場で行っている安全講習やパドリングレッスンにも興味を持っていただければと思います。

サニーコーストカヤックスでは初心者向けの「フィッシングカヤック講習」から、再乗艇の練習なども含む「ステップアップ講習」、そして安全について学ぶ座学と実技の講習「セーフティ&レスキュー・プログラム」(JSPA日本セーフティパドリング協会公認プログラム)などを実施しています。

くわしくは【サニーコーストカヤックスHP】をご覧ください!
※ HPの写真はシーカヤックが多いですが、フィッシングカヤックでも講習をしていますのでご安心ください。

それでは皆さま、安全で面白おかしくカヤックフィッシングを楽しみましょう!

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